シニア層になる前に考える住まいのあり方

目次

シニア層になる前に考える住まいのあり方

高齢者の住まい状況について

今、少子高齢化社会での課題が多くあり、その解決のためにいろんなアイデアや工夫がなされているところです。いくつかの課題の中で、わたしたち住まいに携わるものとして注視しているのがシニア層の住まいのあり方です。

高齢者となり、万が一生活コストが支出と合わなくなった場合、住まいを失うこともあります。ここでは住まいにおける負担と思われることをまとめ、自身が高齢化世代となった際の心配事を回避するヒントになればと思います。
高齢者の居住状況
国土交通省出典:高齢者の住まいに関する現状と施策の動向2022/02/22
 第6回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料 資料1
こちらの作成された時点での資料で確認すると、65歳以上の高齢者単身・夫婦世帯の989万世帯が持家、292万世帯が賃貸住宅、224万人が施設にてそれぞれ居住しています。

この資料の中で特に気になる居住状況として、高齢者の単身世帯の割合が多いという点です。
  • 422万世帯が持家
  • 212万世帯が賃貸
  • 224万人が施設

高齢単身者の世帯を懸念する

422万世帯の高齢単身者が持家を所有

住まいの観点から心配することとしてまずは持家の方です。持家で懸念(負担)となる代表的な維持費用(コスト)は次の項目となります。

定期的な就業上の収入や預貯金があればよいですが、公的年金だけの受給となると、これだけの負担を維持していくのは難しいこともあり得ます。

負担が多い場合には手放すという方法を取る方もありますが、それでも転居する先があってのことですから、簡単には解決できないことも想定しておく必要があります。
不動産の固定資産税など税金
土地や家屋を所有していることで固定資産税などの税金が毎年発生します。
ただし固定資産税等は都市部と地方では大きく異なります。
建物の修繕維持費用
修繕が必要になった場合、戸建てであれば、ご自身のペースで進めることが出来ます。しかし分譲マンションでは管理組合のもと、定期的な修繕積立金、管理費用がかかるため、支出の負担が異なります。但し、計画性を持って将来のために積立を行うことは戸建てでも必要であると考えます。
土地が借地権の場合
建物が建っている敷地が借地の場合、通常月々(もしくは年払い)の借地料が発生しています。
住宅ローン返済がある場合
近年心配されているのが住宅ローン返済です。通常金融機関のほとんどはローンの償還期間を80歳完済までとして設計されています。例えば44歳の方が35年ローンを組んだ場合、最終の完済時年齢は80歳となります。

高齢者向けの資金調達手段には注意が必要です

最近では、資金調達の手段としてリースバック(所有権を売却し資金を得る、物件には賃貸として居住する)を活用する事例もあります。

またリバースモーゲージ(死亡した時点で所有権放棄、それまでは低利な利息だけの支払いで資金を得る)という方法もあります。

いずれの手段も最近出来た資金調達の方法で、所有物件の担保価値がなくては成り立ちません。そのため地域性や所有している担保物件によっては一長一短あります。

情報に弱い方は絶対におすすめしません。しっかりと理解し、ご家族や予定となる相続人などにご説明できるような環境であることが必須です。

212万世帯の高齢単身者が賃貸住まい

持家の次に多い賃貸住まいの方。その内訳では公的賃貸住宅も含まれていますが、ケースとしては比較的リーズナブルな家賃設定となっていることもあります。そして民間の賃貸住宅では138万戸もの高齢単身者が住まわれているとされています。
入居審査が厳しくなる
賃貸住宅では、月々の家賃支払いが行われるよう、それを上回る収入や預金が必要になります。新たに入居する場合には審査があり、一般に収入や年齢からお断りされることもあり得ます。
孤独死の問題
賃貸を貸し出すことで、高齢単身者の孤独死となるケースが増えています。孤独死の場合、ご本人の法定相続人が現れその後の対応をしていただくことは多くありません。それは残された残置物」の処分にコストがかかり、退去することで原状回復の費用が発生することもあるためです。
なお、本人が入居時にあらかじめ処分などの取決めを書面等で行っておくことでスムースになる方法もあります。
家賃と管理費は必要
持家と異なり、賃貸では定期的に家賃や管理費を支払い続けていく必要があります。預金や公的年金などが少ない場合はその他支出のある生活を維持していくことが困難になります。
< 合わせて読んでほしい記事 >

安心できる住まいを維持するための考え方

今回ここでは、万が一自身が高齢単身者となった場合の、主に支出における心配点を取り上げました。このことは誰もが起こりえることだと思います。だからもっと早く、前の段階で対策が出来ていれば少しでもその心配を取り除けるのではないでしょうか。
  1. 住宅ローンの完済する時期は労働収入がある時期までとする
  2. 賃貸は住まう期間を長期か短期かを想定して借りる
  3. 持家であっても費用負担が大きいと維持が難しくなる
1つ目の住宅ローン返済について、以前の高度成長期の考えである、終身雇用、年功序列型の所得増、退職金制度などは、今の時代には一致しないことが多いと思います。長期の返済計画をすることで大きな借り入れが出来るのが住宅ローンです。しかし長期であればその道のりは長く、生活スタイルや環境の変化などもあって、いつまでもずっと支払いを続けていくというのはかえって重荷になることもあります。また、いざ売却をしようと考えても、よほど資産価値の高いエリアでなければ、物件のほとんどが借入残高を下回る査定になってきます。
重要なのは、今支払えるのか?だけでなく、その返済期間が終了するまで支払い続けることが出来るのか?を考えることです。収入にゆとりが出来れば繰上げ返済をして…という方もいますが、実際にはその他生活費の負担も考慮した場合本当に大丈夫でしょうか。

2つ目の賃貸の期間について、入居をする場合、そこに一体どのくらいの期間住んでいくことになるのか想定することが必要です。賃貸は身軽という考えもありますが、実際には転居となれば諸費用が発生し、引っ越し費用や役所などへ移転手続きなどの負荷もかかります。長期で借りることを想定した場合、住まいとしての環境は当然に確認しなければなりませんが、長期であれば、家賃の負担も継続的に支払が出来るのか想定しなければなりません。無理に身の丈に合わない家賃設定をすると、厳しくなった時に更に必要な費用まで準備が出来ず、立ち行かないことになってしまいます。

3つ目の持家について、持ち家は所有維持するだけでコストがかかりますが、立地の良い、大きな建物はそれだけで大変な負担になります。例えばメンテナンスを行う場合にも、規模が大きかったりデザイン性を重視した建物となると、外壁の塗り替えや各所の補修が比例して負担増になります。

以上のように、あらかじめ将来の状態を想定し、過剰な負担とならないようご自身の住まいが安定的に維持されることを重要視してみると良いのではないでしょうか。将来不安や負担を減らすための工夫です。
にほんブログ村 住まいブログ 空き家・空き家活用へ
にほんブログ村
目次