空き家になる前に考えておくこと

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空き家になる前に考えておくこと

問題が先送りされてしまっている

わたしたちは色々なケースのお話をお伺いする機会がございます。ご家庭内における相続の問題、転勤でしばらく住まいを空けてしまう方、住まわれていた方がお亡くなりになり住まいを手放すか悩んでいる…。

本当に多様なケースがありますが、いつもお話を伺っていると残念に思うこと、それはご相談いただくタイミングがあまりにも遅すぎていることです。それ自体はご相談される皆様もよく分かっていると思うのですが、どうしても急を要さないため、結果判断や対応が先送りされているのが実態です。

居住世帯のない住まいを空き家にしておく理由

本データは国土交通省が行った、令和元年空き家所有者実態調査での資料です。どの理由を見ても、人が住まい等として活用されることがありません。本来住まいは人が住まうことで維持されることがあります。そのように活用しないことで、住まいの資産価値は時間とともに確実に目減りしていきます。
今後の利用意向が「空き家にしておく(物置を含む)」のものについて、売却・賃貸しないまたは取り壊さない理由を聞いたところ、「物置として必要」が 60.3%と最も大きく、次いで「解体費用をかけたくない」が 46.9%、「さら地にしても使い道がない」が36.7%の順となっている。

管理しないことで劣化していくこと

住まない建物の管理すべき項目とその理由を一覧にしたものがこちらです。実際には更に細かなチェック項目があります。

なぜこれだけの管理が必要なのか、それは住まいそのものの劣化を防ぐためです。建物の部材そのものは時間とともに劣化するものです。しかし、以下のような管理をするだけで、建物の寿命を延ばしてくれることも確かなことです。

最近の建物は特に、気密性脳を重視されているため、断熱効果が高く快適な温度環境で住まうことが可能です。このことも、人が建物に住まい、空調を利用したり、計画換気を行うことで成り立っています。そういった意味では、昔の建物よりも管理が重要になっていると言えます。

これだけの管理をするのは実際にそこに住まわないとなかなか実行に移すのは難しいと思われます。定期的に行うというよりも、常に確認できる状態をつくり、気になるところをケアしていくことで負担も軽くなるのではないでしょうか。
管理すべき項目管理の理由
上下水道、浄化槽の点検給排水の配管劣化による水漏れ、臭い
浄化槽の定期的メンテナンス
寒冷地における凍結破壊の恐れ
水回り(トイレ、洗面、キッチン、浴室、洗濯機、ビルトイン食洗器)の清掃排水トラップの留め水がなくなることで、異臭、害虫の進入の恐れ、結果汚れ等の付着で排水の障害となる
各部屋、収納スペース等の換気空気が滞留することで、気温の変化から結露、カビ等の発生
5月下旬~9月末の時期は特に必要
屋根、バルコニーなどの雨どいや排水溝のゴミが溜まっていないかゴミ等のつまりが原因で、雨漏りにまで及ぶこともある
バルコニーは防水箇所の劣化を早めることになる
庭の樹木、植栽の手入れ、雑草等の処分隣地へ枝葉が越境しご迷惑となる
道路への落葉等で近隣への衛生面の負担がかかる
雑草や枯れ葉等を放置することで不衛生となり、小動物や害虫発生の原因となる
住まない建物の管理すべき項目とその理由
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あらかじめ想定しておきたい:店舗併用住宅

これまでご家族の誰かしらが住まわれていたことで、管理されていた住まい。この住まう方が居なくなり時間が長ければ長いほど、風化、劣化していきます。

飲食業などの店舗では、事業を廃業しそのまま活用せず荷物置き場になっている光景は見たことがあるのではないでしょうか。店舗併用住宅の例で多いケースです。

店舗併用住宅で多いのは、その個人が自宅にいながら出来る個人事業主として行う形態で、喫茶店、クリーニング店、理髪店が代表的な例です。設計の段階で、ご自身がその事業を廃業することまで計画して作られた建物は少ないと思います。

しかし、住まいとは別にしっかりと区分された建物は、ご自身が事業を廃業してもまた新たに第三者に賃貸のカタチで活用してもらえれば、それだけで資産価値が上がります。更に廃業と同時並行で賃貸にすれば同業種であれば居ぬき物件として扱ってもらうことが出来ます。これは、調理器具などの什器や棚、カウンター等がそのまま再利用されていく方法です。入居され新しく事業を行う方にとっても、経済的にメリットが大きく人気があります。

出来れば区分登記されており、プライベートとの動線を分けること、防災、防火の配慮をした設計であること、生活インフラを分けたものになっているのがベターです。

このように、使う方が変化していくことを予め先の計画として練っておくことで成り立つ活用方法もあります。

あらかじめ想定しておきたい:戸建て住宅

店舗の例は、おそらくどなたでも共感いただけることではないでしょうか。このことと異なり、戸建ての住まいは終の棲家として購入、建築される方がほとんどであると思います。(区分マンションは除く)

ご家族にとって唯一の間取りであったり設備であったりして、とてもこだわりのある設計に仕上がっています。
しかし、このこだわりも将来そのまま活用できるのかとなると少し疑問が残ります。家族構成も増減し、年齢も変化します。すると、本人たちが拘っていた設計が、使い勝手の悪いものになってしまうことも考えられます。

そのため個人の住まいであるとしても、平均的な家族が一般的に利用出来る要素は残しながら設計することも必要であると思います。設計した当初20~30代の方が、ご自身の60代以降をイメージしたときに果たしてその間取りや設備は維持できるのかを織り込んでおいてもよいのではないでしょうか。
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