空き家政策の現状と課題

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空き家政策の現状と課題

人口減少と住宅ストック数の過多について

  • 私たち日本の人口は2008年をピークに減少しています。
  • 世帯数についても2023年以降には減少になる見込みとされています。
  • 住まい(住宅ストックという)の数は約6,240万戸となり、総世帯(約5,400万世帯)より多く、量的には充足しているのが現状です。
  • 新設住宅着工数は、過去と比べて減少傾向にありますが、それでもいまだ住宅需要があればそれだけの建築をしているというのが現状です。
  • その他空き家率(その他空き家数/総ストック数)は上昇傾向にあり、その他空き家率が10%を超える都道府県は、この10年間で0→6自治体に増加しています。
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空き家の現状-取得経緯と所有者の居住地の関係

空き家になる状況はいろいろとあります。その中でも傾向として特に多いのが「相続」となります。一般に住まいとして活用されていた実家(相続を受ける方から見てご両親等が所有する物件)が相続されたケースです。今後益々増えるとされる単身高齢者の戸建て住まい、その後に住まいの主を失うと空き家になるという構造です。
  • 以下データを見ると、空き家の取得経緯は相続が55%と半数以上を占めています。
  • 所有者の約3割は遠隔地(車・電車等で1時間超)に居住しており、空き家の管理が難しいことがわかります。

【空き家の取得経緯(N=3,912)】

【空き家の所在地と所有者の居住地の関係(N=3,912)】

【出典】:令和元年空き家所有者実態調査(国土交通省)

少子高齢化と連動しない住まいの課題

少子高齢化が国内課題である中、住まいの所有についてのあり方が人口や世帯数推移に連動することは難しいことであるという問題が浮き彫りになった状況です。

人口が減れば住まいの数も減るということは出来ません。住まいを増やしていくことが経済的効果が高いとしても、このまま少子高齢化が止められないとしたらその経済活動は短期的なものだと言えます。最後には未来の人々に解体、改修等の費用や労力の負担を大きく背負わせてしまうことになります。

空き家にしておく理由・利活用上の課題

空き家にしておく理由について確認してみると、そのほとんどが本来の住まいのための活用にされていないことが分かります。また処分を考えているかたも、費用の負担や労力を敬遠しており、最終的にどのように対処するのかが問題先送りされている印象です。

売却や賃貸をすることで活用している方の課題として、住まいが老朽化していることで市場価値が見出せないケースがあると考えられます。地域性(市場における立地)の問題を除くと、老朽化の対処は空き家になるまえの早い段階で対応することで、回避できることもあります。厄介なのは雨漏りや外壁の劣化等、構造躯体(スケルトンと区分されます)に影響する劣化です。一方室内の設備や内装(インフィルと区分されます)については、経年劣化のほか、使用していることで傷むこと、水回りなどは時代とともに性能が進化しておりますので、最小限のリフォームを施すことで回避されることが多くあります。

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  • 空き家にしておく理由として、「物置として必要」のほか、利活用を図ろうとしても「更地にしても使い道がない」、「住宅の質の低さ」や「買い手・借り手の少なさ」により空き家となっていることがあげられている。
  • 実際に売却・賃貸を考えている所有者からは売却・賃貸する上での課題として、「買い手・借り手の少なさ」、「住宅の傷み」や「設備や建具の古さ」があげられている。
  • また、「解体費用をかけたくない」、「労力や手間をかけたくない」といった消極的な理由のほか、「特に困っていない」とする所有者も少なくない。

【空き家にしておく理由 (N=1,097、複数回答)】

【空き家を売却・賃貸する上での課題 (N=885, 複数回答)】

【出典】:令和元年空き家所有者実態調査(国土交通省)

所有者が思う、空き家の管理面での課題

空き家所有者の管理面での心配事としては、「腐朽・破損の進行」(58.0%)、「樹木・雑草の繁茂」(41.9%)などに対する不安が多いことがわかります。一方で「心配事はない」とする所有者も2割程度存在しているようです。個別に事情を確認しながら行わなければならないという、空き家の課題は単純ではなく枝分かれしており、よりきめ細やかな対処が求められているのではないかと思います。

【空き家の管理面での心配事 (N=3,912, 複数回答)】

【出典】:令和元年空き家所有者実態調査(国土交通省)

空家法制定当時の問題意識

空き家による外部不経済は、防災・防犯、衛生、景観など多岐にわたり、大きな問題とされています。このことは最近ではニュースでも取り上げられることとなり、徐々に危機感として共有されつつあります。

管理水準の低下した空き家や空き店舗の周辺への影響

※国土交通省による全国1,804全市区町村を対象とする
アンケート(H21.1)結果。回答率は67%
※上記の件数は、複数回答によるもの

~ 想定される問題の例 ~

  • 防災性の低下
    • 倒壊、崩壊、屋根・外壁の落下
    • 火災発生のおそれ
  • 防犯性の低下
    • 犯罪の誘発
  • ごみの不法投棄
  • 衛生の悪化、悪臭の発生
    • 蚊、蝿、ねずみ、野良猫の発生、集中
  • 風景、景観の悪化
  • その他
    • 樹枝の越境、雑草の繁茂、落ち葉の飛散 等

国交省が目指す30年 ”その他空き家”抑制

国土交通省では、二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた長期にわたって不在の住宅などの「その他空き家」について、2030年その他空き家を 推計470万戸→400万戸程度におさえることを目指すとしています。

これはわたしたちがまずその他空き家の問題を共有することから始まっています。400万戸もの空き家があるということは、どの地域でも身近に存在していると言ってもよいほどの数になります。そのため認知はしているけれど、知識として理解していくフェーズに来ているのが現状であると思います。
これから更に課題のトレンドとして取り上げられていくことでしょう。

その他空き家数の将来推計について、直近のトレンドによると、2025年(令和7年)で420万戸、次期住生活基本計画の成果指標目標年となる2030年(令和12)で470万戸程度と推計。
簡単な手入れにより活用可能な空き家の利用や、管理不全の空き家の除却等を通じて、400万戸程度におさえる(令和12年)ことを目指す。

空き家政策の現状と課題及び検討の方向性 国土交通省 住宅局 令和4年10月

知識として知っておきたい特定空き家

現在所有している住まいも、いつか建築年数が経過し、家族構成や住まい方にも変化が訪れます。そのためご自身が空き家を所有していなくても、あらかじめ知識として理解しておく必要があります。

基本的に、この空き家問題は、そうなる前の段階でなにかしらの対応をすれば苦労せずに済むという結論は出ています。
そして、住まいが「自らが住まうためのもの」から変化した場合、住まいの利用する人や利用の仕方も変化させないといけないということは分かっているのです。

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